Yamagata Dojor

 

[目次]

◆ AIR参加作家

◆ 乱稽古(ワークショップ)参加作家

◆ 講師(メンター)

◆ 事業内容

◆ 制作物

◆ 活動の報告・広報

◆ 参加作家たちの感想

◆ 講師(メンター)たちの感

◆ フォトギャラリー

 

「山形ドキュメンタリー道場」は、アジア・ドキュメンタリーの聖地と呼ばれる山形に、新作に取り組む映像作家たちが長期滞在し、国際交流を通して思考を深めるアーティスト・イン・レジデンス(AIR)事業です。
4回目となった今回は、大蔵村の肘折温泉を拠点にしながら、コロナ禍につき海外の参加者はそれぞれの国で滞在制作に取り組み、オンラインでコミュニケーションを取り合い、目的達成を目指しました。
講師や他の日本の制作者たちも加わる、4日間の集中的な「乱稽古」(ワークショップ)も、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド形式になりました。
本年のAIRパートナー、台湾映画と視聴文化センター(TFAI)との協働事業として実施しました。

 

開催期間:2022/2/1~3/2 (30日間)、乱稽古は2/5~8(4日間)
開催拠点:山形県大蔵村肘折温泉、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(山形市)
海外制作者滞在地:ムラピ山(インドネシア)、台南(台湾)、ムンバイ(インド)
講師滞在地:シンガポール、大阪、ハノイ(ベトナム)

 

 

AIR参加作家(4組6名)
30日間の滞在を通して、制作中の作品に集中して取り組む。2月5日~8日の4日間はビデオ会議を使った乱稽古(ワークショップ)、その後に講師と個別ミーティングを通して作品を新たな目で見つめなおし、完成への道筋に向かう。

 

リアル・リザルディ&B・M・アンガナ「モニスム」(インドネシア)
 Riar Rizaldi & B. M. Anggana (project: Monisme – Indonesia)
呉璠(ウー・ファン)&ヴェニス・アティエンザ{新たな名前」(台湾)
 Wu Fan & Venice Atienza (project: A New Name – Taiwan)
金善(キム・ソン)「潮風」(韓国)
 Kim Seon (project: Sea Wind – South Korea)
岩崎祐「底流」(日本)
 Iwasaki Yu (project: Tokyo Undercurrent – Japan)

 

 

乱稽古(ワークショップ)参加作家(3名
4日間のワークショップで制作中の映画企画を発表し、ディスカッションを通して切磋琢磨。

 

奥間勝也(「骨を掘る男」/東京) 
荻野衣美子(「ひらまつの声を聴く」/仙台)
藤野知明(「アイヌ先住権とはなにか?」「姉が統合失調症を発症し、考えたこと」/札幌)

 

 

講師(メンター)5名
オンライン会議を使ったワークショップ、講演、個別ミーティングを通して、参加者が映画企画を前進させるための手助けをしていただきました。

 

タン・ピンピン(映像作家/シンガポール)、秦岳志(映画編集者、プロデューサー/日本)、戸田ひかる(映画監督/日本)、スワン・デュブュ(映像作家、編集者、プロデューサー/ベトナム)、岡村恵子(東京都現代美術館学芸員/日本)

 

 

主催:  ドキュメンタリー・ドリームセンター
助成:  文化庁2021年度アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業、台湾文化部、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター ほか
協力:  認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭、大蔵村観光協会、肘折温泉旅館組合
AIRパートナー: 台湾映画と視聴文化センター(TFAI)

      

 

 

事業内容

Sharing Yawns(平日毎朝) (weekdays daily)

SNSアプリを使って毎日顔合わせをし、同じ時間を共有する仲間としての絆を深めた。

 

乱稽古(2/5~8)

企画発表やマスタークラス、ディスカッションや書く実習がぎっしり詰まった、4日間の濃厚なワークショップに参加した。



個別ミーティング(2/9~10)

乱稽古後、多彩な4人の講師と個別に面談し、考え話し合う時間が続いた。

個別ミーティング(2/19~20)

さまざまな意見を反芻し考えをまとめる一週間を経て、講師の学芸員と面談し、作品完成後の発表の場についてなど今後の可能性を話し合った。

Movie Night 2/3 (「Children of the Mist」IDFA 2021)

ベトナムの新作ドキュメンタリーをオンライン視聴し、Ha Le Diem監督とアソシエイト・プロデューサー(本AIR講師のスワン・デュブュ)とディスカッション。

Movie Night 2/9 (「愛と法」)

本AIR講師の戸田ひかる監督の近作をオンラインと合わせて肘折で会場上映。監督と編集者の秦岳志を迎え、会場・オンラインの双方で活発なディスカッションが繰り広げられた。

Movie Night 2/17 (「Odoriko」)

IDFAやCinema du Reelで好評を博した本作をオンライン視聴し、DOJO1参加作家の奥谷洋一郎監督とオンライン・ディスカッションをした。

Movie Night 2/24 (「Last Days at Sea」ベルリン映画祭2021)

今回のために日本語字幕も作成し、オンライン視聴。本AIR参加作家のヴェニス・アティエンザ監督とプロデューサーのウー・ファンとオンライン・ディスカッション。

一般公開上映 (2/18)

山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)主催の金曜上映会で参加者の作品を一般向けに無料上映。岩崎祐の短編「彷徨」とキム・ソンの「潮風」のラフカットを上映し、市民と質疑応答とディスカッションを行なった。

進捗報告ミーティング

毎週月曜日にZoomで集まり、各参加作家の進展、成果、悩みを共有した。

 

キム・ソンと水墨画を習う (2/25)

参加作家のキム・ソンの指導で肘折の方々、オンラインの参加者を迎えて国際文化交流。



成果発表会 (2/28)

無料オンライン・ライブ配信。各参加者が滞在創作の経験と感想を写真を使って発表した。滞在中に作った6本の短編動画も上映した。記録動画はYouTubeでアーカイブ配信する。

打ち上げ&道場卒業生の同窓会(2/5, 2/28)

ヴァーチャル空間を利用し、過去の道場参加者や成果発表会の一般参加者が自由に交流した。

ショートフィルム FACES

台南、ムンバイ、ムラピ山、肘折温泉での滞在中にスマホ等で自由に記録した映像作品6本が完成、発表された。公式サイトで公開する。

 

 

制作物

参加者募集(チラシ、ポスター、SNS)

山形国際ドキュメンタリー映画祭2021 公式カタログに広告

企画・制作者一覧の小冊子(日英/48ページ/40部)

成果発表会の広報

 

 

活動の報告・広報

成果発表会の記録動画: YouTubeでアーカイブ配信
全体の振り返り動画: YouTubeでアーカイブ配信

 

山形新聞「監督招き、特別な2本立て」(2022/2/11)
山形新聞「肘折滞在、ドキュメンタリー映画編集 作家2人と観客 意見交換」(2022/2/19)
山形新聞「雪と格闘 まるで五輪」(2022/2/20)

 

 

 

参加作家たちの感想
・Zoom画面の四角い枠の数だけの意見や見方を得ることができる、心温かいサポート・コミュニティだった。
・コロナ禍で編集室に引きこもらざるを得ない時期を経て、違う地に移動することができたため、世界の広さ、好奇心の広がりを改めて再発見する喜びを得られた。
・毎朝ミーティングすることは、仲間が地理的に離れていても近しいと感じさせてくれた。ひとりではなくみんなと一緒にこのプログラムを経験しているということに勇気がもらえた。
・日夜緊張していた以前と違って、新しい土地ではよく眠れ、挑戦に対しても安らぎを感じた。この映画を作る中で、すっかり忘れていた子ども時代の遊び心や開放感を再発見した。
・撮影中で大変なことが多かったから、DOJOのみんなと会うたびに、嵐の中に明るい青空が表れたような気持ちになった。疲れていても元気が出てきて、道場の時間を心待ちにしていた。いつか、同じ空の下で、みんなと一緒に酒を飲みながら話したい。
・仕事や日常生活に追われ、自分自身に言い訳をしながら、映画作りに背を向けていた。道場は、初めての時空に避難させ、大切なものを守ることを可能にしてくれた。気付かなかった自分と出会うことができた。
・他の人と会話することで、自分の映画を再び信じることができるようになった。みんなの顔と与えてくれた時間を強く意識しながら、今後を生き続ける。
・メンターや他のフィルムメーカーの話を聞けたのが魅力だった。
・初めて外部の人と作品を共有し、様々な視点から意見が聞けた豊かな時間だった。
・毎朝、みんなに会うのが楽しみでひとつの目標となった。まるでインクが紙面に触れて形を見つけるように、落ち着いた幸福な気持ちになった。
・慌ただしく動き回るのを止め、集中する時間があったおかげで、日々の事物を新しい視点で捉えることができるようになった。道場は、目の前のものに注視することを教えてくれた。
・一番良かったのは、何かを「獲得しなくては」「勝ち得なければ」というプレッシャーがなかったこと。おかげで疑問を呈したり、不安を持つことを押し隠さないで素直になれた。
・互いに助け合い、一緒に作品を探索する、という姿勢が共有できていたので、リラックスして、よりオープンに、無理にねじ曲げようとせず、ありのままの自作を見つめることができた。
・濃密な時間だったが、十分な話し合いの時間があり、本当に豊かな機会だった。
・子どもが生まれてから4年間、箱にしまい込んでいた映像に触れることができないでいた。映画制作よりも子育てが大事、と自分でもあきらめそうだった。でもみんなと共有することで、意味のあることかもしれない、ともう一度思えたのが最大の成果だった。
・自分の作品が他人からどう見られているのかが、少しずつ分かってきた。

 

 

講師(メンター)たちの感想
= メンターという立場でも、とても勉強させてもらっている。特にコロナ以降、作品についてじっくり話したり、哲学的な話をしたり、目先や実務でないことを話せる機会がなくなった。時差や距離があっても、こうしてさまざまな意見や考え方を共有できるのはありがたい。
= 道場のプログラムでユニークなのは、自分の企画を発表し助言を求めるだけではなく、人に与えられること。自分の疑問を共有することで、人の役にたつ。私も、皆さんの見つけた答えから、自分の道を切り開くヒントを得た。
= 出会いに飢えていたので、この機会に皆さんと出会えたことに感謝している。私も皆さんと違わないひとりの作り手だ。道場は私たちが助け合える場所、お互いの相談相手となれる場所を与えてくれた。
= まだ無限の可能性がある段階の映画の、そのプロセスをシェアしていただけたのは、貴重な経験だった。「こうした方がいい」は言わないでほしいというメンターへの指示に対して、キュレーターとしての自分の日々の仕事を振り返り、アーティストに「こうあるべき」と言うことが多かったのではないか、と振り返らせられた。

 

 

フォトギャラリー

 


 

 

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